皆さま、こんにちは。Vino Divasの栗野 美智子です。
少し涼しくなってきたかな、と思っていたら、また本格的な夏に逆戻りしてしまいましたね。そろそろコクありシャルドネとシチューを・・・なんて考えていましたが、やっぱりスッキリ系の泡が美味しい金曜日の夜です。
さて、今日はジャケ買いについて書いてみようと思います。
ワインを選ぶとき、多くの人は国や品種、産地、評価を参考にします。けれど時には、そうした情報を手放して「ただラベルに惹かれたから」という理由で選んでみるのも面白いもの。これが、いわゆる“ジャケ買い”の楽しさです。
音楽の世界ではジャケットのアートワークが購入のきっかけになることがありますが、ワインも同じ。エチケット(ラベル)は、造り手の美意識や遊び心がぎゅっと詰まった小さなアートです。鮮やかな色彩、繊細な線画、ユーモラスなイラストや詩的なタイポグラフィ…。手に取った瞬間、そのデザインに込められたストーリーが、まだ栓を開けていないのに心を動かしてくれることがあります。
ジャケ買いの魅力は、予想外の出会いを生むこと。普段は選ばない品種や国のワインが、思いがけずお気に入りになることもあります。情報を頼りに選ぶと、どうしても過去の経験や知識の範囲に収まりがちですが、ラベルの直感的な魅力は、そんな枠を軽やかに飛び越えてくれます。まるで旅先で偶然見つけたカフェにふらりと入るようなワクワク感です。
特に、最近私が興味のあるビオディナミワインやナチュラルワインの世界では、造り手の個性や哲学をデザインに反映させることが多く、ジャケ買いの楽しみがさらに広がります。月や星、動物、植物など、自然とのつながりを感じさせるモチーフも豊富。ラベルを眺めているだけで、造り手が大切にしている景色や季節の香りが伝わってくるようです。

こちらはビオディナミワインの中で一番のお気に入り、ムーンレンジのピノノワールです。淡いサーモンピンクと、ジャケットのお月様に惹かれて購入した1本です。味わいのレビューはこちら:https://biodynamie-diary.com/?p=113
他にも、まだ飲んでいないのですが、こちらもラベルが素敵な2本です。

ル タン デ ゾランジュ”オレンジの実る頃”(左)とドメーヌ ロンバール “牡丹”(右)。「オレンジの実る頃」なんて小説のタイトルみたいですよね。こちらもビオディナミワインなので、レビューは後日『ビオディナミな日常』の方でアップしますね。
ジャケ買いで忘れてはいけないのがこの1本。

セレニータ マカベオ ブリザートです。これはオレンジワインの良さを存分に発揮している素敵な1本でした。旨味が感じられて、思い出すとまた飲みたくなります。レビューはこちらから。

葡萄人~BookRoad~のラベルも印象的でした。デザイン性が高いうえに、そのワインが何のお料理と合うのか一目でわかるため、ペアリングに悩む方にとって強い味方になるのではないでしょうか。葡萄人さんの訪問記はこちらから。

他にもNatan葡萄酒醸造所のジャケットも物語性が高く、ワイン選びが楽しかったのを覚えています。「小説を選ぶようにワインを選んでもらいたい。エンタメとしてのワイン造りを目指したい」という思いのもと、ワイン造りからジャケットのデザインまで拘りが詰まっています。
今のところ、ジャケ買いしたワインで失敗したことはありません。とはいえ、見た目だけで選んだからといって、必ずしも味が自分の好みに合うとは限りません。でも、それもまた物語の一部。新しい香りや味わいに出会う驚きは、きっとあなたのワイン体験を豊かにしてくれます。
次にワインショップを訪れたときは、ぜひ棚の前でゆっくりとラベルを眺めてみてください。心がふっとときめいた一本が、あなたの週末や特別な日の思い出を彩るかもしれません。
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