埼玉県 武蔵ワイナリーを訪問してきました

こんにちは、Vino Divasの栗野 美智子です。
最近ますます注目が集まる自然派ワイン。ブドウ栽培は農薬が欠かせないと言われている中、埼玉県比企郡の小川町に無農薬・無肥料・無添加でワインを作るすごい造り手がいると知り、早速訪問してきました!

この日はちょうどヨガスタジオの「ヨギフィール」さんとワイナリーのコラボイベントが開催されていて、私もヨガのレッスンから参加です。場所は醸造所すぐそばのスペース。早朝から小雨が降っていたので、テントの下での実施となりました。ヨガは昔通っていたジムで定期的に受けていましたが、アウトドアのヨガはまた違った雰囲気です。虫の音や鳥のさえずりを聞きながらのポージングは大変リラックスできるものでした。

レッスンは約1時間。良い感じに身体が温まり、飲むためのウォーミングアップとなりました。
次はワイナリーツアーに参加です。武蔵ワイナリーの代表自らが畑と醸造設備を案内してくれました。

植えられている品種は小公子、ヤマソーヴィニヨンがメインで、他にもメルロやシャルドネなど、約9種類を育てているそうです。栽培は全て棚仕立てという、ブドウと地面が水平になる栽培方法です。湿度が高い地域に向いた仕立て方で、日本のブドウ畑の約7割がこのタイプです。代表のお話によると、この栽培方法だと根が深くまで張るため、肥料を与えなくても十分に育つのだそう。画像の黄色い札のようなものは虫を捕るための粘着シートです。無農薬なので虫が寄ってきやすいため、こうした工夫は欠かせません。中でもメルロの栽培は難しかったそうで、色付きが良くなるまでかなり苦労されたそうです。

ブドウ畑の次は、醸造設備も案内して頂きました。数日前に収穫した白ブドウ(確かアルバリーニョだったと思います。)を醸している所です。果皮やタネも一緒に漬け込み、オレンジワインに仕上げる予定だそうです。通常の白ワインだと収穫後はすぐに圧搾してジュース状態にしてから発酵させるのですが、「それだと果皮やタネが何だか勿体ない」とのことで白ブドウは全てオレンジワインにしているそうです。1日3回、撹拌作業をしていて、私も少し混ぜさせていただきました。ドロドロしていましたが、思っていたより重くなかったです。

ワイナリーツアーの後はお楽しみのテイスティングタイム。グラスをレンタルし、好きなワインを選択します。1種類だけ1杯1,000円のものがありましたが、基本的に1杯500円です。微発砲の「KANPAI」、小公子とヤマソーヴィニヨンを混醸した「動かざること山ソーヴィニヨン」、武蔵ワイナリーのシグナチャー「饅頭なんまら怖い」、小公子とメルローに、つい出来心?でヤマソーヴィニヨンをブレンドした「なんまら出来心」の4種類を注文です。右側にある「杉」「檜」のワインも大変気になったのですが、これはまた今度のお楽しみにすることに。当然ですが、すべて無農薬・無肥料・無添加の完全自然派ワインです。

KANPAI(下記画像の右側)
小公子100%。紫がかった濃いルビーレッド。ラズベリー、カシスのような、赤系~やや黒系果実の香り。爽やかな酸味と落ち着いた渋味が印象的。自然派ワイン特有の旨味も感じられ、KANPAIからごちそうさままで、幅広いシチュエーションで飲めそうな1杯です。
動かざること山ソーヴィニヨン(下記画像の左側)
小公子63%、ヤマソーヴィニヨン37%。こちらもKANPAIに似た色味だけれど、光に当てるとこちらの方がややオレンジやレンガっぽい色合い。ブルーベリー、カシス、ブラックベリーなど、KANPAIより黒系果実の香りが強い印象。ドライフルーツのニュアンスも。酸味、渋味も共に落ち着いており、旨味が感じられます。余韻が長く、丁寧な手仕事を感じさせる仕上がり。この日飲んだワインの中で、これが一番お気に入り。
饅頭なんまら怖い(小公子89% メルロー11%)、なんまら出来心(小公子75% ヤマ・ソービニオン 20% メルロー5%)
この2つのワインは兄弟のようなワインだと感じました。どちらもシュールリー製法で、ミズナラというウイスキーや焼酎で使われることが多い木の樽で熟成し、小公子とメルローという共通点があります。なんまら出来心の方はブレンド数が1つ多いので、饅頭なんまら怖いより少しだけ複雑味が強く、そこがかえって兄弟の兄っぽくて面白いな、と思いました。なんまら出来心のラベルの饅頭が青いのは落語の題材「花色木綿」が由来だそうで。いつか代表の方とゆっくりお話をしてみたいものです。

イベントがある日は地元のフードショップも出店していて、この日はパン屋さんとお惣菜屋さんがおつまみを提供していました。小川町ののどかな雰囲気を眺めながら頂くワインとお食事は最高です。イベントは月に1回開催されていて、最寄りの小川町駅から送迎バスも出ます。車が無くても行きやすいのも魅力的ですね。

とにかく総じて興味深いワイナリーだと思いました。ブドウ品種も馴染みがないものだし、普段とは違う種類の木樽だし、無農薬・無肥料・無添加に加え、さらには無補糖という、ワイン造りのエクストリームチャレンジを目の当たりにしました。代表の方のブドウ栽培やワイン造りにおける情熱、知識、経験は大変深く、その姿勢から美学や哲学のようなものを感じました。これはもっと飲み手に伝えたい反面、品切れで買えなくなるのも嫌だな、とも思います。

武蔵ワイナリー:https://musashiwinery.com/

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